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用途の分からない「使途不明金」の処理方法

何に使われたのか分からないお金は、原則として経費にできません。

しかし会社のお金が使われたのであれば仕訳は必要です。

そこで本記事では、用途が不明なお金、いわゆる使途不明金の処理方法について解説いたします。

なお使途不明金には定義が存在し、使途不明金にすら当てはまらない場合は使途秘匿金として処理します。使途秘匿金についてもまとめましたので、ぜひ最後までお読みください。

使途不明金の処理方法

使途不明金の定義

使途不明金とは、金額や支払い先が分かっているけれど、支払いの目的が不明なお金のことを指します。

  1. 領収書に金額と支払い先は書かれてあるのに、何を購入したのか、何のサービスを受けたのかが書かれていない
  2. レシートが不明瞭で、支払い金額と支払い先は読めるけれど、何を購入したのか読み取れない
  3. 金額も支払い先も使途も分かっていても、謝礼やリベートのように領収書の発行がなく会計報告書に記載できないお金

使途不明金の処理方法

使途不明金という勘定科目はありません。会計処理をする場面では接待交際費や雑費、支払手数料等の勘定科目を用います。

勘定科目の推定すらできない場合は、雑損失で仕訳を行いましょう。

<処理の一例>

接待交際費 100,000円 / 現金 100,000円 接待相手不明

 

なお使途不明金は、その全額について損金算入できません。

したがって仕訳をする際には上記のような勘定科目で一旦入力しますが、申告書上では損金不算入として処理します。

使途不明金と判断されやすい勘定科目

多くの場合、税務調査で見つかります。

どのような勘定科目で見つかるのか確認し、調査しておくと安心です。

接待交際費

最も発生しやすい勘定科目です。

よくあるケースは「接待に使ったお店と金額は分かっているけれど、どこの取引先の接待か分からない」というものです。

領収書が残っていたとしても使途に該当する「どこの誰に対する接待なのか」が不明瞭なので、使途不明金と判断されます。

雑費

接待交際費に次いで発生しやすいのが雑費です。

雑費は他の勘定科目にあてはまらないものをまとめて処理できます。担当者としては使い勝手が良い勘定科目ではありますが、第三者目線では勘定科目名から使用用途が特定できません。そのため税務調査では調べられやすいのです。

また少額であまり重要でない経費であることから、担当者の気が緩んで確認を疎かにしてしまい、使途不明のまま処理していることも少なくありません。

使途不明金を発生させないようにするには

使途不明金は経費にできないため、納税額が増えてしまいます。

納税額を抑制するためにも、下記のような対策を取りましょう。

領収書を管理

領収書の紛失を防ぐために、日付順や得意先ごとのようにファイルを分けて、厳重に保管しましょう。保管する人も少人数で決めておくと、領収書が行方不明にならずにすみますよ。

電子データで保管しておくこともおすすめです。

決定事項を記入

領収書には下記の項目が記載されている必要があります。漏れていると使途不明金と判断されたり、会計処理に影響が出たりします。受け取った都度確認しておきましょう。

 

  1. 「領収書」というタイトル
  2. 日付
  3. 宛名
  4. 金額
  5. 内訳
  6. 但書
  7. 発行者

 

項目が揃っていれば使途不明金と判断されることもなくなります。

接待なら接待した得意先名や名前、参加人数等を領収書書き記しておきましょう。

記載されている内容が不足している場合、インボイス制度開始後(令和5101)からは、売り手に対し修正したものの交付を求め修正されたものを保存する必要があります。自ら追記や修正を行うことはできません。

取引先の厳選

領収書を発行してくれない取引先は、今後の取引を中止することも検討しましょう。

領収書を発行しないということは、取引の隠ぺいや決算操作をしている恐れがあります。

最悪の場合は自社にまで被害が及ぶ可能性も考えられますので、取引を継続するかどうか、慎重にご判断ください。

さらに不明瞭な支出は「使途秘匿金」

使途秘匿金とは、支払い先と使途が不明なお金です。

使途秘匿金と判断される基準は「金銭の支出であること」「支払い先の情報が記されていないこと」「対価性がないこと」の3点です。これら3点を備えた支出は使途秘匿金とみなされます。

裏を返すと、これらのポイントを外れていれば使途秘匿金とはみなされません。

使途秘匿金と判断された場合、損金不算入になり、かつ金額の40%が法人税に追徴課税されます。たとえば100万円の使途秘匿金が見つかった場合、法人税を40万円余分に払わなくてはなりません。

まとめ

使途不明金とは、使用用途が分からないお金です。会計処理を行う際は、接待交際費や雑費、雑損失といった勘定科目で処理するものの、申告書では損金不算入となります。さらに不明点が多い場合は使途秘匿金として追徴課税が課されます。

使途不明金と判断されると納税額が増えますし、今後の税務調査でも目をつけられてしまいデメリットしかありません。

本記事を参考に、使途不明金や使途秘匿金を発生させない体制作りを進めてください。

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