三条市の会計事務所、L&Bヨシダ税理士法人です。
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個人事業主として開業した1年目の難関と言えば、確定申告ではないでしょうか。
事業を安定させることとは別次元の難しさが襲ってきますよね。
そこで今回は、経理未経験の個人事業主に向けて、確定申告の仕方を詳しく解説いたします。
「何から手をつけていいのか分からない」という方は、まずこの記事を最後までお読みください。
確定申告の期限までにすべきことが一気に理解できるでしょう。
確定申告書の提出先は「所属する納税地を管轄している税務署」とされていますので、まずは該当する税務署を調べましょう。
開業届を提出済みの人は、開業届に記載した税務署が提出先です。
開業届等を提出しておらず、該当する税務署が分からない人は以下の手順で調べてみてください。
「所属する納税地」は、一般的に「住民票に記載されている住所」が該当します。
事業所や店舗が居住地と異なっている場合でも、何の届出もしていなければ基本的には住民票住所になります。
該当する税務署に開業届を提出しましょう。
開業届の提出は、義務ではなく出さなかったとしても罰則等はありません。
開業届を出さなくても開業した年の確定申告を正しく行えば、それが開業届の代わりになります。
しかし、開業届を出さないと
「特典が多い、青色申告が選択できない」
「屋号での銀行口座開設・クレジットカードの作成ができない可能性がある」
「各種許認可手続きが進まない」
といったデメリットを被ることになります。
開業届の提出期限は「事業を開始した日から1か月以内」ですが、遅れても罰則はありません。気づいた時点で提出しましょう。
なお開業届には管轄する税務署を記載する欄がありますので、先ほど調べた税務署を転記してください。
青色申告を選択する人は、開業届と一緒に青色申告承認申請書も作成・提出しておきましょう。
青色申告は帳簿の付け方が少し複雑になりますが
「55万円~65万円の所得控除が受けられる」
「家族に支払う給与を全額経費にできる(別途青色事業専従者給与の届出が必須)」
「赤字を最長3年繰越せる」
等の様々なメリットが受けられます。
特に開業したての時期は利益が出にくいものですから、赤字を繰り越せる制度が非常に役立つでしょう。
確定申告の期限を確認しましょう。
期限を過ぎてしまうと延滞税等が上乗せされる可能性がありますので、確定申告書の作成に取り掛かる前に、タイムリミットを見極めてください。
通常時の確定申告期限は「2月16日から3月15日まで」です。
たとえば2022年度分の確定申告の期限は「2023年3月15日」となります。
しかし例外もあります。
まず還付申請の場合は2月15日以前でも行えます。
還付に該当するのは「源泉徴収税額>本来納付するべき所得税額」の人です。
個人事業主でも、住宅ローン控除等を利用することで還付金が発生することがあります。
このようなケースでは、2月15日以前でも確定申告が行えます。
次に、一時的な延長措置です。
2022年は新型コロナウイルス感染症の影響で、確定申告の期限が1ヶ月延長されました。
2023年も、所定の手続きを踏めば延長が認められることになりました。
”新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに申告・納付等をすることができないと認められるやむを得ない理由がある場合には、所轄税務署長に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を申請し、その承認を受けることにより、その理由がやんだ日から2か月以内の範囲で個別指定による期限延長が認められることになります。”
国税庁サイト「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」より抜粋
ただし申請書には「確定申告の期間中に本人がコロナウイルスに感染したため確定申告が遅れた」等の理由を記載しなければなりません。
単純に準備が遅れて期限に間に合わなかった場合は利用できませんのでご注意ください。
確定申告書にはマイナンバーを記載する箇所がありますので、本人および扶養家族全員のマイナンバーを入手しておきましょう。
まだマイナンバーカードを持っていないなら、早めに手続きを行ってください。
マイナンバーカードは申請から交付まで約1ヶ月かかりますので、確定申告の期限ギリギリにマイナンバーカードの交付申請を行うと、間に合わない可能性が高いのです。
なお「マイナンバーを確定申告書に記載したくない」という人は、記載しなくても罰則はありません。
ただし確定申告書等にマイナンバーを記載することは義務ですし、2024年には保険証とマイナンバーカードが一体化することも決まりました。
マイナンバーカードは今後なくてはならないものとなるでしょうから、早めに手に入れておくことをおすすめします。
事業用に購入した物品等のレシートや領収書をまとめます。
1. 年度内のものだけ抜き出す
2022年度の確定申告を行うなら、2022年の日付が記載されているレシートや領収書だけをピックアップしてください。
「2021年12月」や「2023年1月」等の日付が混じっていたら、今回の確定申告からは省きます。
2. 勘定科目ごとに分ける
勘定科目とは、帳簿を作成する際に使用する項目のことです。
たとえばボールペンを1本買ったなら「消耗品費」、取引先と飲食店で打ち合わせをしたら「会議費」と分けていきます。
下記によく使う勘定科目をまとめますので、参考にしてください。
勘定科目 | 詳細 |
---|---|
仕入 | メーカーや商社等から購入した物品の費用。 |
地代家賃 | 店舗や駐車場等の賃料を支払った時の勘定科目。 自宅を事務所として利用しているなら、家賃を按分して一部計上も可能。 |
水道光熱費 | 水道料金や電気代、ガス代等の勘定科目。 石油や灯油の代金も該当する。 |
通信費 | インターネット接続料や電話代、切手代等の勘定科目。 |
旅費交通費 | タクシー代やホテル代、交通費、高速料金等が該当する。 事業を目的としない旅行費用は計上できない。 |
消耗品費 | 使用期間1年未満または10万円未満の物品の勘定科目。 文具やコピー用紙、名刺、蛍光灯等が該当する。 |
接待交際費 | 接待や贈答品、祝金等が該当する。 |
広告宣伝費 | チラシやネット広告、試供品作成等が該当する。 |
給与賃金 | 従業員へ支払う給与や賃金が該当する。 個人事業主自身の給与は経費にできない。 |
売上入金先の預金通帳や、仕入代金引き落とし口座の通帳を準備しましょう。
ネット銀行で口座を開設し通帳を発行していない場合は、データでダウンロードするか、画面をスクリーンショットで保管してください。
現金を手元で保管してある場合は、入出金明細を付けているでしょうから、明細と実際の金額が合致するか確認しましょう。
もし違っていれば、間違いを修正しておいてください。
どうしても合わない時は、後で帳簿を作成する際に「雑損失」または「雑収入」の勘定科目を使用し合わせます。
準備した資料を元に帳簿を作成します。
個人事業主用の会計ソフトを使用すると非常に便利です。
帳簿の付け方は白色申告と青色申告で異なります。
青色申告承認申請書を提出した人は複式簿記で作成し、青色申告承認申請書を出さなかった人は自動的に白色申告となり、単式簿記形式で作成することになります。
帳簿の作成時が最も時間を要しますので、余裕を持って取り組んでください。
単式簿記形式とは、1つの取引を1つの勘定科目で記録する記帳方法です。
経理の専門知識がなくとも作成しやすい反面、信頼性には若干乏しいとされています。
よくある帳簿は「現金出納帳」「売掛帳」「仕入帳」等です。
複式簿記形式とは、1つの取引を2つの勘定科目で記録する記帳方法です。
たとえば売掛金が銀行口座に入金された場合なら
『現預金 ○円 / 売掛金 ○円』
と記帳します。
正しく作成するには専門知識が必要ですが、そのぶん帳簿の信頼性は高まります。
作成した帳簿を元に、収支内訳書または青色申告決算書を作成します。
・白色申告なら収支内訳書
・青色申告なら青色申告決算書
と決まっています。どちらかを選べるわけではありませんのでご注意ください。
会計ソフトを利用している場合は、帳簿作成と同時に数値が自動転機されることが多いようです。
事業に関する資料作成が終わったら、次は事業以外の書類をまとめましょう。
主な書類を下記にまとめます。
年度中に支払った国民健康保険料や国民年金保険料等は、社会保険料控除の対象です。
扶養家族の保険料も支払ったなら、その金額も控除対象です。
国民年金基金や小規模事業共済なども含まれます。
会社員であれば2年目以降は年末調整になりますが、個人事業主の場合は確定申告で申請します。
住宅ローンを受けた金融機関から送付された「残高証明書」を元に「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」に記入しましょう。
「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」は国税庁サイトからダウンロード可能です。
※初年度は必要書類が多くなります。
<通常の医療費控除を申請する場合>
年度中に支払った医療費の明細を集めて「医療費控除の明細書」を作成します。
扶養家族の医療費も控除対象になりますので、入院等で医療費が高額になった場合はぜひ申請してください。
<セルフメディケーション税制を申請する場合>
健康の保持増進及び疾病の予防として一定の取組を行っている方が、その年中に自己又は自己と生計を一にする配偶者その他の親族のために12,000円を超える対象医薬品を購入した場合に利用できる制度です。
通常の医療費控除と併用できません。
セルフメディケーション税制の対象とされる医薬品は、レシートに控除対象であることが記載されています。また一部対象医薬品には、パッケージにセルフメディケーション税制対象である旨が記載されています。
あまり病院等を利用しない人は、セルフメディケーション税制を利用して、健康維持と節税を行いましょう。
寄付をした自治体から発行される「寄付金受領証明書」を準備しましょう。
確定申告書作成時に必要です。
なお個人事業主はワンストップ特例制度を利用できません。
ワンストップ特例制度を利用できるのは「ふるさと納税がなければ、確定申告が不要な人」です。
個人事業主は確定申告が必須ですから、ワンストップ特例制度の利用対象者に含まれないのです。
年度中に他社から給与を受け取った場合「源泉徴収票」が必要です。
退職時に発行されているはずですので、準備しましょう。
万が一見つからない時は、退職した会社に再発行してもらいます。
資料を元に確定申告書を作成します。
転記ミスをすると税額が変わってしまうので、間違いがないか入念にチェックしてください。
国税庁が提供している「確定申告書等作成コーナー」や会計ソフトを利用すれば、手書きするよりも正確に書類が作成できますよ。
確定申告書を作成しチェックも済んだら、添付書類を添えて期限内に税務署へ提出しましょう。
還付金が発生する場合は、提出後2週間〜2ヶ月程度で指定の口座に入金されます。
原則として、開業3年目以降から消費税を支払う事業者になる可能性があります。
開業初年度については、自身で消費税を納税することを選択しない限り、消費税は納めなくて良いです。初年度から消費税を納めることを選択した方が良いケースもありますので、詳細は税理士等の専門家に相談することをおすすめします。
また、消費税の支払いが始まるのは主に「2年前の年間の課税売上高が1,000万円を超えたとき」です。
そのため、開業初年度と2年目は2年前に売上が発生していないので、基本的に消費税は免除されます。
※R5年度より、インボイス制度が開始され制度が複雑になります。ご注意ください。
1月後半から始めることをおすすめします。
経理の知識や経験が全くなくても、帳簿をつけて決算書を作成し、確定申告書を正しく申告しなければなりません。
それ以前に、売上や仕入等の書類の整理でも相当時間がかかるでしょう。
事業を続けながら空いた時間で少しずつまとめていくと想定するなら、2月に入る前から動き始めるべきです。
個人事業主が初めて確定申告を行う際には、上記の流れに沿って作業を行いましょう。
自分自身で帳簿をつけ確定申告を行うことがベストですが、もし難しければ早めに税理士を探してください。
確定申告書を正確に作成してくれることはもちろん、必要な書類や帳簿の付け方等の情報も教えてくれますよ。
相談したからといって契約しなければいけないことなんてことは一切ありませんのでご安心くださいね。
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