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「売上は減ったけれど従業員は減らしたくない」「もっと高度な技術を身につけさせて売上アップにつなげたい」
事業によっては従業員のスキルレベルが売上に大きく関わることもあるでしょう。また売上が減少したからといって、おいそれと従業員に雇い止めを言い渡せないものです。
このような場合に利用できるのが雇用調整助成金です。
従業員を一時的に休業させたり、教育訓練を受けさせたりした場合に助成金が受け取れます。特に令和6年(2024年)は教育訓練の項目が使いやすくなりました。
今回は、従業員のスキルアップで受け取れる雇用調整助成金について解説いたします。
2024年4月には、リスキリングを強化するという観点から、休業よりも教育訓練を選択しやすくなるように見直しが行われました。変更点を確認しましょう。
これまで中小企業の助成率は2/3、加算額1,200円で一律でした。
しかし今後は、教育訓練実施率により増減することとなりました。
なお累計の支給日数が30日に達した判定基礎期間までは、これまで同様です。
教育訓練実施率 | 助成率 | 教育訓練加算額 |
---|---|---|
1/10未満 | 1/2 | 1,200円 |
1/10~1/5未満 | 2/3 | 1,200円 |
1/5以上 | 2/3 | 1,800円 |
教育訓練実施率とは、休業等の延日数のうち、教育訓練を実施した日数の割合を示します。
この変更により、一定以上の教育訓練をさせると助成率が高くなり、加算額も多くもらえることになりました。
つまり教育訓練を積極的に利用した方が、助成額をグッと増やせるのです。
支給対象となる教育訓練の要件が変更となりました。
休業や出向はこれまでどおりです。
支給対象となるのは「事業所内で経験等を有する者が講師役となり、安全性や生産性向上の講習等を実施するもの」「外部講師を招いて講習等を実施するもの」「外部のセミナーや訓練等に参加するもの」です。
なお、過去に実施した教育訓練を同一人に実施する行為や、技能実習生に実施する教育訓練は支給対象となりません。
詳細は下記でご確認ください。
休業で雇用調整助成金を申請する場合、下記の書類が追加で必要になりました。
出向や教育訓練で申請する場合の書類追加や変更はありません。
上記変更点を踏まえ、2024年4月以降の雇用調整助成金の概要をまとめます。
なお売上の減少は「景気の変動、産業構造の変化その他の経済上の理由」とされており、季節的なものや事故または災害を理由とする場合は要件を満たしません。
本助成金の申請を行う前に不支給要件に該当していないかの確認が必要となります。
以下の要件のいずれかに該当している場合は助成金の支給が受けられません。
休業と教育訓練、出向で、助成率や助成額の算定基準が異なります。
どの助成率があてはまるのか事前にご確認ください。
累計支給日数が30日以内とそれ以上で助成率等が変わります。
事前に算定したい場合は、厚生労働省「雇用調整助成金の様式ダウンロード」より、教育訓練実施率等算定シートをご利用ください。
企業規模 | 助成率 | 教育訓練加算額 |
---|---|---|
中小企業 | 2/3 | 1,200円 |
企業規模 | 教育訓練実施率 | 助成率 | 教育訓練加算額 |
---|---|---|---|
中小企業 | 1/10未満 | 1/2 | 1,200円 |
1/10~1/5未満 | 2/3 | 1,200円 | |
1/5以上 | 2/3 | 1,800円 |
出向させた場合の助成額は、以下の算式で計算できます。
出向元事業主の出向労働者の賃金に対する負担額×助成率
なお出向元事業主の出向労働者の賃金に対する負担額は、出向前の通常賃金の概ね1/2が上限額です。
また助成率は、中小企業:2/3、大企業:1/2です。
今回の変更で、教育訓練を選択する経営者が増えるものと思われます。
そこで本記事では支給対象となる教育訓練について、詳しく解説いたします。
休業や出向の場合は別の要件が設定されていますので、詳細は厚生労働省のサイトをご確認いただくか社労士や税理士にお尋ねください。
対象となる教育訓練は、下記6つをすべて満たす必要があります。
<事業所内訓練と事業所外訓練>
事業所内訓練とは、使っていない生産ライン等を使用して行う教育訓練等のことです。このとき、通常の生産活動と区別しなければなりません。
たとえば経験豊富な者が講師となり講習等を実施することや、事業所内に講師を招いて講習等を実施すること、また会議室等を開放してオンライン講座を受講することも事業所内訓練に該当します。
事業所外訓練とは、外部のセミナーや講習等に労働者が参加するタイプの教育訓練です。官公庁や地域において産業や中小企業を支援する機関等が実施する講習等が該当します。
ただし、講演が実施されない意見交換やイベント等は除外されます。
雇用調整助成金は、従業員を減らさずに立て直しを図る際に最適な助成金です。
休業や出向に対する助成も含まれますが、今年は教育訓練への助成が強化されました。
たとえば事業所内に従業員を集めて講習会を開くことも、一定の基準を満たせば雇用調整助成金の支給対象となります。
助成金を上手に活用して、従業員のスキルアップと売上アップを叶えましょう。
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